ジゼル〜GISELLE〜

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「ジゼル」GISELLE

ストーリー STORY 


第1幕


ドイツのとある森のほとり、村娘のジゼルは母とひっそりと暮らしていた。森番のヒラリオンは彼女に想いを寄せ、なにくれとなく二人の力になろうとするが、しかしジゼルは向かいの家に出入りするロイスという青年に惹かれている。ロイスは優雅な物腰でジゼルに恋を語り、恥じらう彼女の心を開かせるのだった。ヒラリオンは、そんなロイスに不審の目を向け、ジゼルに忠告するのだが、彼女は耳を貸そうとしない。心臓が弱く、大好きな踊りを母ベルタに止められている彼女だが、ロイスと踊っていると、すべて忘れるほど楽しかった。そして愛を誓うロイスを信じ、彼との結婚を夢見るようになる。

しかしロイスは実は身分を隠した貴族アルブレヒト大公であり、クーランド公爵の令嬢バチルドと婚約までしている身だった。

村ではブドウの収穫を祝う踊りが村人たちによって披露される。ジゼルは今年のぶどう娘に選ばれるが、踊りには加わらずに村人たちの踊りを母ベルタと見守っている。

そんな折、森へ狩りに来たクーランド公の一行が、村に休息をしに立ち寄る。母ベルタとジゼルは丁重にもてなす。美しい衣装に見惚れるジゼルに気付いたバチルドは、ジゼルに踊りを披露するように言う。心を通わせたジゼルとバチルド、ジゼルは自分の結婚の夢を語る。自分と同じように恋をし純真なジゼルに心を打たれたバチルドは、自らの首飾りをジゼルにプレゼントする。

ロイスの家に侵入し、ロイスが実は貴族であるという証拠をつかんだヒラリオンは、ジゼルや他の村人の前で証拠の剣をつきつけ、さらに角笛を高らかに吹く。公爵一行が現れ、農夫姿のアルブレヒトを見て驚く。さらにバチルドは、この人は私の婚約者だと指輪を見せる。

アルブレヒトの裏切りはジゼルに大きな打撃を与えた。心乱れ正気を失った彼女は、恐れ見守る人々の目の前でアルブレヒトの剣を弄び、母の腕に倒れこんでそのまま命絶えてしまう。彼女の弱い心臓は悲しみと絶望に耐えることができなかったのだ。

 


第2幕


結婚を前に死んだ娘たちはウィリになる、とドイツの言い伝えにある。ウィリたちは夜に森に出没し、通りがかりの男を踊りの輪に引き込んで、疲れて息果てるまで決して許そうとしない。ジゼルもまた女王ミルタに率いられるウィリの仲間になった。

後悔に苛まれるアルブレヒトとヒラリオンは、それぞれにジゼルの墓に詣でる。そして恐ろしくも美しいウィリの群れに捕えられてしまう。まずはヒラリオンがウィリたちにさんざん引き回され踊り殺される。アルブレヒトの番になったとき、精霊となってなおアルブレヒトを愛しているジゼルは、彼を支え励まし、ともにミルタに哀願するのだが、冷酷な女王は聞き入れない。もはやこれまでと思った瞬間、彼方で夜明けの鐘が鳴り、暁の光が射し始めた。ウィリたちは光に追われるように姿を消し、命拾いしたアルブレヒトがひとり残される。

ジゼルは無に昇華し、永遠の別れとなる。